カテゴリー別アーカイブ: DJ/音楽

JOKER (ネタバレなし)

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映画 “JOKER”を観ました。最近、シアターに足を運ぶ機会がすっかり少なくなってしまって、こちらで映画の感想を紹介するのも久しぶりのことです。

まあよくこんな映画を配給することができましたわな。というのが率直な感想。こんな映画がいろんな倫理委員会みたいな組織のチェックをくぐって、大企業のスポンサーもついて、お咎めもなしに堂々とロードに出れるわけなんだから、何だかんだ言ってもアメリカという国は自由なんだなと思います。

映画の話をすれば、とにかく主演のホアキン・フェニックスの存在感と演技力につきるのでしょう。これを超えるインパクトを残せる役も演者も近年ではちょっと思い当たらないような気がします。このままだときっと主演男優賞獲ってしまいそうだけど、いいのかな?

社会の闇やタブーに切り込む姿勢、いくつもの側面をもたらすストーリー、何だか居心地の悪い音や映像の演出、語るべくは多々ありますが、とにもかくにも、個人的に極めて重要な「鍵」を作品の中に発見してしまいました。あまりにもパーソナルすぎて、ここに詳細は書けませんが、こういうことってあるんだなあ。(僕のブログを隅々までチェックして事細かに読み漁っている方がいたら、もしかして僕が何を話しているのかわかるかも知れません。)

まあそんなわけで、映画の重く暗い内容とは裏腹に、とても元気をもらって帰って来ました。映画を観る前と後で全く世界が違って見えるような影響を受けたのは、すごく久しぶりのことでした。心が病んだり弱ったりしている時は観ない方がいいような気もするけど、僕のように元気になっちゃう人もいるかも知れません。お薦めして良いのかどうなのかわかんないけど、まあそれなりの覚悟を持って劇場に向かわれた方が良かろうかと思います。

映画ってやっぱりいいなあ。

DJのお知らせ

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偶数月第3金曜に東京湾に浮かぶ船上で開催しているEXTRA+FRIDAY。

皆さまをおもてなしするメンバーは、おなじみのDJmacromance、MORIKEN、Toshihiro Onoに加え、EXTRA+LIVEとして『bwpとファンキーヘッドライツ』が登場。
JICOOにぴったりのアーバンだけどちょっとポップでファンキーな演奏で、秋の空間に彩りを添えてくれます。

秋の夜長に、美味しいお酒を片手に、良い音楽とひと時の語らいをお楽しみください。

船の上でお待ちしております。

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EXTRA+FRIDAY 20191018@JICOO

■TIME:
19:30-23:00
Hinode Pier | 20:00 21:00 22:00
Odaiba Seaside Park | 20:30 21:30 22:30
船は日の出桟橋とお台場を往復しつつ30分おきに着岸しますので、どのタイミングからでも乗船可能です。

■VENUE:
Jicoo The Floating Bar
www.jicoofloatingbar.com

■CHARGE:
2,600yen (Floating Pass)
フローティングパスは船から降りない限り乗り放題です。料金には乗船料、エンターテインメント料が含まれます。

■EXTRA+LIVE:
bwpとファンキーヘッドライツ

■MUSIC SELECTOR:
DJMACROMANCE / MORIKEN / TOSHIHIRO ONO

 

存在感の欠如

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電車や街で知り合いを見かける。こっちは100メートルも先から相手を認識しているのに、そちらは真横をすれ違ってもこちらの存在に気がつかず何だか悔しい。イベントの告知でフライヤーやSNSの記事などに名前を入れ忘れられる。一度や二度ではない。そっちから出演を依頼しておいて、そのことを忘れたわけだ。注文した料理が僕の分だけ運ばれて来ないということもよくある。みんながデザートを食べている時間帯にようやく届いたメイン料理をひとりでもぐもぐやっている姿を想像すると我ながら哀れだなと思う。

それもこれも要するに存在感の欠如が原因ということになろう。自分ではけっこう頑張っているつもり(赤いシャツを着たり、ロン毛を編み込んでみたり)なのだけど、存在感というのはもっと内面から湧き上がってくる類いのものであるらしく、まあ何をやっても他人からの印象は薄いようである。

人にどう思われるか?ということだけを念頭に、長い間生きて来たわけなのだけど、人からはどうも思われていない、目にも入っていないというのが、その答えで、こんなことなら他人の目など気にせずに自分の好きなことだけを追求し続ければよかったと思う。

ヨーロッパをぐるりと周ってみたところ、イタリアやドイツに僕のことを気にかけてくれる特殊な人種が存在することを知った。イギリスにも少し、ルーマニアやアメリカにもいるみたいで、彼らから届くメールやメッセージ(写真やビデオ、詩なんかも送られて来る。)に何度も目を通し、自分の存在を確認し、他人から承認されたいという欲求の足しにしている次第である。(自分という人間の存在を確認するのに他人の目が必要というのは奇妙なもんだな、なんて考えたりもする。)

きのう、都内を車で移動していたら、パトカーに停車を求められ、そのまま職務質問を受けた。警官が4人も出てきて、道路が渋滞していたこともあり、ちょっと周辺が騒然とした雰囲気になった。買い物中のおばちゃんとかこの時ばかりは地味な僕も他人からの視線を感じた。警官らが僕に何を求めていたのかは知らないが、少なくとも彼らの目に僕は「認識」されたわけだ。こんなにありがたいことはない。

職務質問を受けることって普通の人は人生で何回ぐらいあるんだろう?僕は数え切れないぐらいある。日常生活では全く存在感のない僕だけど、警察官の目にはちゃんとひとりの人間(あるいはそれ以上)として見えているようである。将来はイタリアかルーマニアのリゾート地にでも住んで、退役した警官をボディーガードに雇って暮らそうと思う。エルビスプレスリーの衣装みたいのを着て。

犬の目

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犬の目は色を識別することができず、すべてがモノトーンで見えていると聞いた。最近では、実は色が見えているという人もいて、何が本当かはわからないが、この世界の中にモノトーン(に見える)エリアがあるのは事実であるようだ。

サーフィンの帰りなどに田舎の道をドライブしていて、白黒だけで彩られた墨絵のような景色に遭遇することがある。徐々に光が失われていく物悲しい時間帯で、以前はあまり好きではなかったが、ある時期から一転してマジックアワーの、特に後半を好むようになった。暗闇の後に必ず朝が現れることを長い時間をかけて学んだのだろうと自分では思っている。思考のスピードが遅いのでモノを理解するのに時間を要するんだ。

花屋でDJさせていただく機会を得た。友人のフォトグラファーが撮影した花の写真を何となくモノトーンに加工してみたら、その美しさに息を呑んだ。犬たちの目には花がこんな風に見えているのかと思うと少し羨ましく感じる。淡い青のブルースターとか、微妙なピンクのバラとか、全てが灰色に見えてしまうのは、残念な気もするけれど。

30年ほど前に東ヨーロッパのどこかの国を訪れた時、街全体がどんよりと、建物も空も人も酒場も煙草も、何もかもがモノトーンに見えたのを記憶している。その時の自分に、後に壁が崩壊して、街に光が、色が戻ってくることを想像する力があったなら、その暗い白黒の世界をもっと美しいものとして捉えることができたかも知れない。

 

 

皿洗いのつぶやき

BLUESNIKことハンザワさんが我が家のスタジオに遊びに来てくれた。DJとしては30年近くのキャリアを持つ大先輩なのだけど、近年はほとんど活動していない。尖りすぎた選曲スタイルについて来れる雇い主がいないのだと僕は思っているが真実は知らない。

持参したレコードをミックスしながら、そのセオリーをこと細かにレクチャーしてくれる。ハンザワさんのプレイはいろいろ凄くて普通のDJの10年ぐらい先を突っ走っているが、最近ではヘッドホンすら使わない。つまり次にかける曲を全くモニターせずに、それでもうまい具合に違和感なく曲をポンポン繋いでいく。とても真似できるものではない。やり方を教えてもらっても真似できない。

20分ぐらいだろうか、わりとまともな流れが続いているなと思っていたら、そのまま終わるわけがなく、途中で暗黒モードに入っていく。ただ「暗い」とかだけではない。ひとことで言えばすごくダサい。もちろん本人はよくわかってやっている。「この辺でお客さんがだんだん怒り出すんだよね。」とか言って、最初から客の怒りがセオリーの中に入っているらしい。

15年かそれぐらい前に、シャンパンのヴーヴクリコのイベントでデュランデュランをかけて、雇用主にこっぴどく怒られていた。当時は80’s音楽はDJのネタとしてはタブー扱いされていた。今やそれが王道中の王道であることを一体誰が予測しただろう?その後も、ジャズフュージョン、ディストーションギター、日本のニューミュージック。タブーに挑戦しては、顧客やクライアントを怒らせ続けてきた。十八番にホラー映画のサスペリアのテーマ曲なんてのもあって(あれをレストランとかでカップルやファミリーが和やかに食事をしている後ろに流すのである。)顰蹙を買っていたが、サスペリアはその後リメイク版が制作され、音楽は何と、かのトムヨークが担当したことで脚光を浴びた。みんながハンザワさんを追いかけているのである。

僕はDJは基本的にはアーティストではなくて、皿洗いやバーテンや警備員と同じ、お店やイベントのスタッフのひとりと思っている。つまり顧客やクライアントが喜ぶような選曲をするのが正しいスタンスだと考えている。東京ではレストランやバーのBGMの依頼が多いから、必然的にジャズ中心のラウンジ系の楽曲におさまる。クライアントにもいろいろいて、例えば、クリスチャン・デスのヨーロッパツアーの時はハードでディープなエレクトロ/ダンス/ミュージックというオーダーが入ったので、それに対応した。店によって皿の洗い方にもいろいろある。オーガニックな洗剤を使えと言われればそうするし、食洗機があるなら、その使い方を学ぶ。

それで、楽しいのか?と聞かれれば、別に楽しくはない。他にやることもないし、できることもない。声をかけてもらっているからやっている。どこからもオファーが来なくなったらやめるしかない。ハンザワさんのような究極のアーティストタイプのDJとは取り組み方が全く異なる。正直言って少し、いや、かなり羨ましいが、僕に彼の真似はできない。

僕にはやりたいこと(創りたいもの)が何もない。あるふりをしてずっと生きてきたけど、実はない。これを書いていて、それに気がついた。おもしろいな。ハンザワさんのことを紹介しようと思って、こんな話になった。

キダオレ日記

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今期のコムデギャルソンはオムプリュスのテーマが「ゴス」。これにレディースも連動しているようです。ゴスウェア?の定番とも言えるフィッシュネット素材のアイテムもラインナップに登場していました。

現在の僕は東京で細々とジャズDJやりながら、次の海外遠征に向けて音素材の製作を始めたところ。しばらく黒装束のゴス仕様で人前に登場することはないと思ってトレードマークだったロン毛もばっさり切ってしまいました。コムデギャルソンがこのタイミングでよりによって「ゴス」をキーワードに持ってくるというのも何かしら縁のようなものを感じてしまうけど、ほんの1歩だけ遅かった。でも、いつ着るかわかんないのを承知でフィッシュネットのワンピースとカットソー(もちろん両方ともレディース)を購入しました。ファンなんでね。

 

 

8月のDJ

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今年の夏はDJ少なめ。現時点で残り2本のみです。スケジュールは随時更新しているけど、こちらでもお知らせしておきますね。

8月31日(土)花と音楽の夜会 HANANE(虎ノ門)20:00-2200
8月16日(金)EXTRA+FRIDAY Jicoo the Floating Bar(東京湾クルーズ)19:30~
写真は昨年夏のEXTRA+FRIDAYより 撮影 by YUSUKE SATO

DJのお知らせ

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8月16日(金)東京湾クルーズ JICOO THE FLOATING BAR(ジクー)でDJします。2ヶ月に1度ペースで開催されているEXTRA FRYDAYというイベント。基本ジャズだと思うんですけどね、オーガナイザーの小野くんのキャスティングがなかなかエクセントリックで(だからこそ僕のような変態がレギュラー陣の中に名を連ねているわけなのだけど)毎回どんな夜になるか予想がつきません。

写真は前回6月の時のものだけど、見る人が見れば「おお!」となるような組み合わせ、このキャストを一同に集められるのは現時点では小野くんしかいないだろうなと思います。

このイベントでは縛りが全くなく自由なので、昨年はミュージシャンやポエットとセッションしたり、サンプラー持ち込んでマシンライブ風のプレイをしたり、実験的なことにもいろいろ挑戦してきたのですけど、ここ数回は、インテリア・ミュージックの原点に戻って、音楽で良いムードを作ることに徹しています。クルーザー特有のエンジン音に低音を持って行かれることが多く、次はその辺も意識してやりますね。何をやるのも全て感覚だけを頼りにしてきましたけど、ある程度のレベルに行くと、やはり先人の知恵とか理論みたいなものと向き合わなければならない時が来ます。今がそれです。たぶん。

東京湾クルーズのご予約はジクーのオフィシャルサイト

ゴスフェス

今回のツアーの大目玉はドイツはライプツィヒで開催される世界最大のゴス・フェスティバル WAVE-GOTIK-TREFFEN(WGT)。世界中から黒装束のゴシックピープルが集結するこのイベント、まあとにかくこんな光景は見たことないという感じでした。街中が黒装束。(うまく説明することができないので、興味のある方はぜひ検索してみてください。)このメインステージに立つことはおそらく全てのゴス・アーティストにとっての頂点と言っても過言ではないと思います。で、そこでDJしてきたわけだ。えへへ。たぶん日本人DJでは初(未確認だけど)。もちろんバンドと一緒にライブ出演もしました。そっちの映像はまた別の機会に。

KOTA DJ SET @LOGO Hambrug 7 June,2019

21日間、6カ国、18ヴェニュー、走行距離15000km。ヨーロッパツアーから無事帰国しました。いろいろご報告ありますが、まずはステージの様子からご覧ください。ドイツはハンブルグのクラブでのプレイです。

ツアー

ブログを更新するタイミングがなかなか捻出できてないのですけど、イギリス凱旋&ヨーロッパツアー 始まって1週間が過ぎました。元気です。詳しくはまたまとめて記事にします。ひとまずご報告までに。

写真はロンドン在住の日本人フォトグラファー Shu Tomiokaさん。ロンドン、カムデンアンダーワールドにて

定番の死

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普段からちまたのニュースに耳をかたむけてないので、何がトレンドで何が流行遅れなのかわからない。音楽関係にしても、新しいレコードはレコードショップの店員に勧められるがままに購入し、曲のタイトルはおろかアーティストの名前にしてももう憶える気すらないのが実情。ニコラスケイジの名前を思い出すのに何十分もかかるのだ。新たに人の名前をおぼえらえるわけがない。

流行を知らなくて困ることはあまりないが、たまに事件があっても自分だけ何も知らないということがある。レコード針を購入しようとショップに行ったら、何と、SHUREがカートリッジ部門から撤退したと聞いて驚いた。どれぐらいの事件かと言うとだな。うむ。アップルがスマホ事業から撤退したレベルに等しい。いや、それ以上かも知れない。マクドナルドがハンバーガーを作るのやめたとか、それぐらいの規模のニュースである。にわかには信じられなかったが、どうやら本当のようだ。

偶然、別の楽器屋に売れ残っていたのを見つけ、在庫全てまとめ買いしたので1年やそこらはもちそうだが、やれやれ、今回のニュースは心に痛みを伴う。自分が「定番」と思って愛用していたものが世の中から無くなっていくのである。すなわち自分の居場所がどんどん小さくなっていくことを意味する。「もうおまえの場所はここにはない。出て行け。」と宣言される日が、そこまでやってきているような気がする。

*4月に書いた記事に加筆した。

UK/EUツアー日記

えーと、迫るツアーのことも少し書いておこうかな。

朝起きてメールボックスを開けるとだいたい毎日、ヴァロー(クリスチャン・デスのリーダー)からメールが入っています。とにかく、思いついたことはすぐさま実行に移すタイプの人です。僕のツアー参加がまた彼のひらめきに刺激を与えてしまったようで、まあとにかくアイデアが毎日のようにアップデートされて次々と送られてきます。

当初、バンドのオープニングアクトとして静かにシアティカルなムードを作る予定だったのが、いやいや、やっぱりちょっとアップテンポなダンスビートで温度上げてくれよ。ということになり(そんなこと東京でもやったことない)その後、ベースも弾くことになり、今、現在のところ、何もしなくていいから、とにかく(バンドの)ライブの間もずっとステージの上にいてくれって、スカのライブでお客を煽ったりしてムードを盛り上げる「アジテータ」ってのがいるけど、ゴスのライブでそんなの聞いたことがありません。まあ、他にいないってことはオリジナルであるわけで、トライのしがいはありますね。でもどんな感じのステージになるのか、行ってみるまでさっぱり想像もつきません。いずれにしても「DJとしてゲスト参加」というよりは、もう「バンドに復活」と言った方がいいような感じになってきています。

ツアーまであと20日。

 

ヘッドホン

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海外DJツアーが決まって、生活スタイルががらりと変わり、ここでもその話題を発信しまくると自分でも思っていたが、毎日あちらとやりとりしたり、トラックを作ったりみたいなことばっかりやっていると、現実逃避でDJとは関係のない話ばかりしたくなるところが怠け者の怠け者たる性(サガ)であって我ながら情けない。

5351POUR LES HOMMESがタイアップしているマーシャルのヘッドホンを購入した。ヘッドホンと言ってもDJツールとしてではなく、僕の場合は音楽ではなく、移動時、実はラジオを聴いている。しかも音楽番組の多いFMではなく、AMラジオである。

現在はラジコがあるので、オンタイムでなくても好きな番組が聴けるようになった。一番好きな番組はTBSの荒川強啓のデイキャッチというお昼の時事ネタ番組で、ラジコが導入されてからはほとんど欠かさず聴いていた。僕の政治社会的な発言はほとんどこの番組からの受け売りと言ってもよいかも知れない。これがこの春、突然の打ち切りとなった。理由はイマイチ定かではないが、政府筋から圧力がかかったのだと視聴者のほとんどは思っているだろう。

さておき、ヘッドホンの実用性はじゅうぶん合格ラインだと思う。Bluetooth通じてiPhoneとの相性は良い。(BOSEのBluetoothスピーカーとiPhoneの相性は悪いと思う。よく繋がらないことがある。)電波もかなりの広範囲をカバーしている。それとなくスイッチを入れたらとなりのとなりの部屋に置いてあったiPhoneのiTunesが起動して音が流れてきてちょっとびっくりした。密閉性は高く音漏れの心配が少ない。環境によってだがDJ時にも使えてしまうかも知れない。音もいいと思う。(実はもともと音のクオリティはさほど気にしていない。自分の音を人に聴かせる時は話は別だが。)装着感はややきつい。長時間の連続使用は耳や頭に辛いかも知れない。まあ、そのぶんホールド感はしっかりしている。首にかけた時も左右のスピーカー部分がフロントでくっつくぐらいバネが強いので、僕のように首が短い(ほとんどない)人間は使わない時は首から外してポケットやバッグに引っ掛ける、さもなくばスピーカーで顎を挟むという不恰好な姿で歩くしかない。ファッションアイテムとして首にかけることを想定するなら人並みの長さの首を持っていることが条件となろう。

見ての通り、デザイン性、身につけた時のインパクト、共に文句なし、当然5351の服にもよく似合う。特にエレガントなスーツスタイル時にしっくりくる風貌のヘッドホンは他にそうないと思う。ボタンスイッチやピンなどの金具がさりげなくゴールドなのもマーシャルらしくてかっこいい。

祝開店

もう10年になるんだな。長女が小学校を卒業した時にふたりでパリに行って、従業員がひとりとかふたりしかいないような小さな店がたくさんあって、これは素敵だなと思い、また自分でもお店をやってみたくなって、帰国してすぐに田園調布にパンクな絵本の店を開きました。その名はダダティーク。従業員は僕ひとり。

ひとりだと止めてくれる人がいないので、店のスタイルは思いつきのままにどんどん変容していきます。後半は友人にスペースをレンタルしたりもして、アート展、お花やパンのワークショップ、かき氷屋さんってのもあったな。それはもうカオスでした。

そこで知り合って仲良くなった友だちのことを「ダダトモ」と呼んでいます。僕は幸運なことにどの時代においても良き人たちに囲まれて生きてきましたが、その中でもダダトモには、ちょっと特別な思いがあります。同じ宇宙船に乗って旅をしたような。何が特別なのかうまく説明できないのですけどね。小学校3年生の時のクラスメートだけ今でも時々集まったりする。みたいな感じだと思います。そういうのあるよね。

うむ。そんな風にして知り合ったダダトモのひとりが、この春、町田に新しくカフェをオープンしました。美術館の前にあって、いい感じの緑と光が入ってきて、趣味の良いアンティークのソファがあって、2回はアトリエ、夢のように素敵な空間です。お店に打ち合わせに行った時に彼女とあれこれやりとりしていて、あら、訪れる側と迎える側の役割は変わったけれど、これ、何だか前と同じ感じがするよ。デジャブみたいだ。ってなりました。お店の雰囲気とか全然違うんですけどね。不思議なもんだ。

そんなわけで、明日(4月26日)のお披露目会でDJやらせていただきます。光栄なことであります。あ、開店おめでとうございます。

トラック作り開始

しばらくはクリスチャン・デスのUK/EUツアー関連の話が続きます。

さて、ツアー本番までちょうど2ヶ月です。いろんなことをやらなければならないのですけど、とにかく現場でどんなパフォーマンスをやるか決めなくてはなりません。

僕はふだんバーやカフェのような場所でジャズやノンビートの音楽を会話の後ろに静かに流す、というようなことをやっているのですが、デス・ロック・バンドのオープニングアクトとなると、やはりそれに合わせてスタイルを変更しなくてはなりません。当初、話が持ち上がった時は、現代音楽やアート系の作家の音楽を使って「静けさの中にある狂気」みたいのを表現したいと思っていたのですが、バンドの方から「ガンガン盛り上げちゃって」というまさかのオーダーが入ってしまい、東京でもやったことのないダンスチューンに手を出す羽目になってしまいました。

しかしながら、いわゆるエレクトロダンスミュージックにあまり興味を持ったことがないから何をやっていいかよくわからない。それにデス・ロックとダンスミュージックにはそもそもあまり接点がありません(あるのかもだけどよく知らない)。なので自分で作ってしまうことにしました。作ると言っても作曲するわけではありません。人の作った曲を盗んできて、切ったり貼ったりして新しい曲に生まれ変わらせるのがDJの仕事。

ドラムンベースやダブステップなどのちょっとダーク(レフトフィールドと呼ばれているらしい?)なビートをベースに、アフリカンブードゥのパーカッションを加えて厚みを作り、ディストーションギターのフレーズをサンプリングしてきてトッピング。ありそうでなかった新しい音楽が完成。こうやってみるとDJのミックスワークは料理にそっくりですね。

こんな感じのトラックを2〜30ぐらい作っておいて、それを現場でうまく繋ぎ合わせるというわけだ。1日1曲作ればひと月もかからないから、まあ余裕で間に合いそうです。

↑聴いてみてくれたかな?作品としてはちょっと完成度が低いと思うかも知れないですけど、これ、あくまで材料ですんでね。仕上げは現場でやるので、火を通しすぎないようにしています。料理と同じです。

つづく

KOTA A.K.A MACROMANCEの詳しい情報はH.Pをご覧ください。

KOTA IS BACK

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古巣のゴスバンド=クリスチャン・デスのツアーに30年ぶりに参加することになりました。経緯はバックナンバーをご覧ください。

本番まで2ヶ月しかありませんので準備をしなくてはなりません。まずは航空チケットの手配。その段階でパスポートが切れていることに気がつきます。

続いては機材。日本で使っている機材は持っていくのも大変だし、電圧の問題もあります。なので、現地で機材を買う(そしてたぶん帰国前に売り払う。)ことにします。国をまたいで数週間となるとレンタルよりは買った方がずっと安い。そして毎晩同じ機材を使えるというメリットもあります。オンラインで買って、向こうに住んでいる友人の家に置いておいてもらう手はずを整えます。

パスポートと航空チケットと機材があれば、まあ後はどうにでもなるでしょう。が、やらなくてはいけないことは山ほどある。

まずは名前を決めなくてはなりません。バンドに属していた時は「KOTA」が名称でしたので、そのままKOTAでもよい気もしたのですけど、DJとして参加するものですからやはり「MACROMANCE」は謳いたい。いくつか候補が出まして、結局シンプルに「KOTA A.K.A MACROMANCE」に落ち着きました。A.K.Aは as known asの略で、直訳すると「〜として知られる」つまり「マックロマンスとして知られているKOTA」ということになります。複数の名前を用途によって使い分けるヒップホップ系のアーティストがよく使っている手法です。

そしてアーティスト写真の撮影。バンドの方から「髭なしロン毛でよろしく」とのオーダーがありましたので、本当に久しぶりに髭を剃りました。そして30年ぶりの白塗りメイク。衣装は撮影のためにしつらえたのではなく、普段から気に入って着ているコムデギャルソンです。メイクひとつでここまで印象が変わるとは思いませんでした。

ちなみに撮影は今や湿板写真で世界的にも有名な和田高広さん。この写真の他にも今回の撮影でスーパーショットが生まれましたので、また折を見てご紹介いたします。

つづく

 

 

凱旋する

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ごめんなさい。まず謝罪。前回、ヨーロッパにはもう行かないと宣言しましたが、やっぱり行くことになりました。交渉ごとが本当に苦手でね。途中でめんどくさくなって放り出そうとしたら、逆にこっちの条件が通ってしまったというね。今度は断るのがめんどくさくなって、行くことにしましたわ。めんどくさいことを回避するために、よりめんどくさいことをやるわけだ。

なわけで、改めまして、古巣=クリスチャン・デスのヨーロッパツアー「Behind a Veil Tour 2019」に サポートメンバーとして参加することが決定しました。担当はDJとベースです。バンドを辞めてからちょうど30年ぶりの復帰。5月の後半にイギリスをスタートしてイタリア、クロアチア、ドイツ、フランス、オランダなどヨーロッパ20都市ぐらいをひと月で回ります。まだ正式にアナウンスされてないので、まさかの中止もあるかも知れませんが、とりあえず航空チケットは予約済み。

詳しいことはまたここに書きますね。ひとまずご報告です。

写真(銀座ドーバーストリートマーケットで撮影)と本文は関係ありませんが、衣装はたぶんコムデギャルソンでいくと思います。

凱旋しない

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僕が80年代にイギリスでゴスバンドに所属してベーシストとして活動していたことはこのブログでも話題にしてきた。長い人生において人に自慢できるようなことが他にないので、自分のことを話そうとするとどうしてもその話題になる。

メンバーを変えながらも現在も活動しているそのバンドがこの初夏にヨーロッパツアーを敢行するそうで、それに僕がDJとして参加するという話が突然浮上してきた。願ってもない海外デビューの機会である。

昨年、闘病を押して来日した盟友カム・キャンベルとの再会において、ヨーロッパ、特にロンドンへの凱旋は僕がどうしても果たしたい夢のひとつになった。何の成功を収めずに「凱旋」とはおこがましい、と怒られそうだが、さして華々しいものではないにしても、この難しい時代にこの年齢まで五体満足で生きて来られたことがすでに成功だと僕は思う。

そんな中、コムデギャルソンがパリコレで「ゴス」をテーマにしたコレクションを発表したというニュースが入ってきた。時代が僕を後押ししてくれているような気すらする。何ごとにも悲観的な僕としてはめずらしく前向きハイ。果たしてこのような状況が続くだろうか。

続くわけないよね。僕は恐ろしくネガティブな生き物なのだ。結論から言えば、今回のツアー参加の道はほぼ閉ざされたと思う。条件面で折り合いが合わず、交渉するのが途中でめんどくさくなって、こちらからフェードアウトした。どうせならライブにも参加してベースを弾いてくれ、みたいな話も飛び出して、何だかもうめちゃくちゃ。思えばこのブログでも前回「もうベースは弾かない」と宣言したばかりである。

写真と本文はほとんど関係ない、が、全く何も関係ないかと言えばそうでもないかも知れない。

呪いの突き指

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今年はどうも正月に母親から発表された呪いの占い「何をやってもうまくいかない。」が頭の片隅にくっついて離れないようである。もともとからネガティブな性格で、良い占いだと「そんな素晴らしいことが自分に起こるわけがない。」と結果を跳ね除けるくせに、悪い方は心の底から信じて受け入れてしまうのだ。そんな悲観的な性格の自分を本当に恨んでいるが、53年そうやって生きてきて、今さら楽天的で前向きな性格に生まれ変われるとは思わない。残りの人生も悪い予言だけを信じ、呪われ、死んだ後は地獄に落ちるのだろう。

さて、きのうサーフィンに行った際、ボードで突き指をしてしまった。折れてはいないが指と手がかなり腫れている。幸い、ターンテーブルなどDJ機材の扱い、パソコンのキーボードの操作、車の運転など、日常生活には大きな影響はなさそうだ。やれやれ、自分がピアニストや外科医でなくてよかった。と、必要もないような安心をしたところで、ふと、前回このブログで「音楽の新しい表現方法を発見した」と息巻いておったことを思い出した。

弾けないのである。この指では到底ベースは弾けない。他のことはだいたい何でもできるのに、ベースだけは弾けない。

要するに神は私に「ベースを弾くなんて考えは捨ててしまえ。」と言っているのだな。少なくとも私はそう解釈した。わかりました。弾きませんよ。弾きません。もう金輪際弾かねえわ。

まあものすごくポジティブに捉えるのであれば、これは「レコードだけで勝負しなさい。」というメッセージだと取れなくもない。事実、今朝、ターンテーブルの前に立っていくつかの曲を繋いでみたが、あまりにも素晴らしすぎて自分で感動してしまった。もしかしたら私は天才かも知れない。

とまあこのように、クリエーションに(そして生き方)については、毎日のように考えがコロコロ変わる。あれこれ考えて結局は何もやらない。というのを何万回と繰り返してきた。今回もきっと同じになるだろう。この後も悪い予言だけを信じ、呪われ、死んだ後は地獄に落ちるのだろう。

*写真と本文はあまり関係ないかも。

ノンタイトル

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D(レ)マイナーの和音を16に分割してインスタみたいに4×4列(インスタは3列だけど)に配置し、下の右から順に番号をふる。写真の番号の音をEマイナーフラットの音に合わせるとよいハーモニーを奏でる。

電子パット付きのサンプラーをブースに持ち込んで、曲(レコード)に合わせて演奏するというスタイルでのプレイを過去2回導入したが、どちらも満足な結果をもたらすことはできなかった。自宅やスタジオでの練習ではそこそこいい感じにいくのだけれど、本番ではどうも思うような音を作ることができない。おそらく自分にはマシンライブのようなスタイルでよいムードを作るための資質が備わってないのだろうと解釈している。たった2回で何がわかる?と突っ込まれそうだけど、同じ相手と2回セックスして、うまくいかなかったら3回めはもうなかろう。(普通は2回だってないと思う。)

話は変わるが、いただいたレコードを繰り返し聴いていたら、何となくベースを弾いてみたい気分になった。現役を引退して30年になるが、たまに無性に触りたくなることがあり、ベースはいつも弾ける状態で部屋にある。おもむろに流れるレコードの曲に合わせて弦を弾いてみたらこれがなかなか楽しくて止まらなくなった。もともと変拍子だらけの奇妙な曲ばかりのレコードだが、新しいリズムが加わって、あまり聴いたことのないアバンギャルドな雰囲気の音楽に変化した。試しに他のレコードでもやってみたところ、やはり面白いフレーズが浮かんでくる。これをくりかえし、改良を加えれば人に聴かせられるレベルのものになるやも知れぬ。

長い間、いろんな形で音楽に携わってきて、自分には作曲の能力、また演奏者としての資質がないことは重々承知している。簡単に言えば僕には「メロディー」がない。この致命的なハンデに痛み、一度は「音楽」を捨てたはずだったが、またその「音楽」に引っ張られるようにしていろいろなことが僕の身の回りで起こっている。この先どうなるかは全くわからぬが、まあね。アナログレコードとエレキベースという中途半端な組み合わせは自分らしくていいと思う。

電子パット付きのサンプラーはメルカリに出すかな。もう少し持ってた方がいいか。

確定申告

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確定申告のシーズンですね。僕は税務上はいちおう個人で複数のビジネスを持つ個人事業主ということになっています。DJのギャラは昨年申告分までは「副収入」として他のビジネスの決算に算入していたのですが、昨年は1年分をまとめるとけっこうな額になり、税理士のアドバイスもあって、今回から別枠で決算書を作ることになりました。事実上の新規開業、つまり法的にも職業=DJということになります。DJになるために免許や資格は必要なく、開業は誰でもできることなので、特に素晴らしいニュースでもないのですけど、やはり何だか嬉しいものですね。ちなみに屋号は「マックロマンス」としました。これの意味するところは自分的には奥深いものがありますが、その説明はまた別の機会に。

Photo by YUSUKE SATO

渋谷駅で海をばらまく

IMG_4880.jpegフレグランス:CHANEL/PARIS-BIARRITZ

このブログを毎回読んでいるマニアの方はあれ?と思ったかも知れません。昨年買ったのと同じフレグランス。 気に入って毎日つけたとしても半年でなくなるはずはありません。実は先日、渋谷駅の構内で落として割ってしまったんです。フレグランスを持ち歩くという行動が野暮であることは重々承知しているのですが、DJでロングセットの時、後半のダレる時間帯に香りがあると集中力が戻ってくるんですよね。どんな香水でも最初のトーンのインパクトは強力ですが、特にこのシャネルはつけた瞬間に「海」を感じます。

最近はこの数ヶ月で2回ほど車に傷をつけてしまったり、先日の靴のソール全張り替えもそうなんですけど、新しいモノを買うのではなく、すでに持っているモノをニュートラル状態に戻すためにお金を使っていることが多いような気がします。(CDで持ってるアルバムをレコードで買い直したりもそうですね。)

何だろう、深層心理では、この人生では「もう新しいものはいらない。」と思っているのかも知れません。いらないけど「お金を使う」という気持ちの良いドラッグはやめたくなくて、それでわざわざ持ってるものを壊しちゃうというね。

なわけで2月1日の夕方、東急渋谷駅の東横線と半蔵門線の間の通路で海のことを思い出した人がいたら、ごめんなさい、それは私のせいです。

 

 

MOVIE VIEW

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1965年に生まれた。

イギリスにおいてはThe Who のMy Generation、The Rolling Stonesの(I Can’t Get No)Satisfactionの年で、我々の属する社会においてはこの年を「文化元年」と断定してもよいぐらい、新世代の幕開けを象徴するような年号だと言えよう。

その当時のロンドンを、自らが新世代のメンバーのひとりだった俳優マイケルケインのナビゲートで、残された映像やインタビューで振り返るという映画。何となく見聞きして知っている話ではあるが、こうやって改めてまとめたものを見ると、やはり血が騒ぐ。同時に、自分自身がそこには属さぬ部外者であることを再確認して沈む。

1965年生まれの「マイ・ジェネレーション」たちの青春は、大学生の分際でオープンカーを乗り回し、似合いもしないジャンポールゴルチエを着て、夜は六本木、冬はスキー、女たちはボディコン、音楽はユーロビートというおぞましいものだった。当然そこに自分の居場所はなかった。

1965年、東京。時代と場所を間違えて生まれた。

盗人の美学

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キーボード:KORG microKEY25

「DJは演奏してはいけない。」というのが私の理念のひとつである。楽曲があり、オーディエンスがいる。その間をつなぐのがDJ。「演奏」は熟練を重ねたミュージシャンに与えられた特権、あくまで作られた楽曲を人様に届けるのがDJの役割である。そこをはき違えてはいけない。

切ってもよい。つなげてもよい。逆回しにしても、エフェクトをかけても、めちゃくちゃにして他の曲に作り変えてしまってもよい。だけれど、自分で演奏するのだけはダメだ。

例えば、いい感じのドラムセットをサンプリングしてループさせ、そこにベース音を加える際は、わざわざ何枚ものレコードを聴きまくって、音階やBPMの合うベースラインを見つけて切り取り、加工して貼り付ける。自分でベースを弾いてしまえば数分で済む作業を数時間、場合によっては何日もかけて行うわけだ。

「私の店には盗んできたものしか売っていません。」盗人の美学とでも言えばよかろうか。

新しく楽器を購入した私はもはや盗人ですらない、私の活動名であるDJ MACROMANCEから「DJ」の文字が消える日もそう遠くはないかも知れない。

 

コウモリラン

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コウモリラン。いくつか枯らしてしまったものもあるが七株残って、まずまず機嫌よく成長している。

植物は眺めているだけで心が和む、特にコウモリランは特別で、踊り狂う女たちの手のように思い思いの方向に咲き広がる葉、太陽の光に透けて見える美しい葉脈、丸っこくて可愛らしい貯水葉など、ずっと見続けていても飽きることがない。

水のやりすぎが枯らしてしまう原因のひとつと知り、水やりのタイミングは注意するようにしている。株によって二週間ほど放ったらかしにする時もあるが、このところ水が欲しいサインが何となくわかるようになってきた。

同様に、愛情を与えすぎるのも良くないかと考え、この胸の内を悟られないように演技しながら対応している。たぶんバレてると思うが。

自然界では他の木や岩石などに着生して成長するらしい。インターネットなどで情報を集め、見よう見まねで、流木(サーフィンに行った時に拾ってきた)や庭木の端材などにくっつけてみたら、なるほど植木鉢に入っている時よりも気分が良さそうに見える。私が死んだらぜひとも彼女たちを私の屍体に着生させてもらいたいものだ。(遺言に書いておこう。)何なら生きたまま一体化してみたいぐらいだが、はたして。

Music : “Why Can’t We Live Together” / Timmy Thomas

 

DJ info

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さておき2019年も青山から始動です。

2019年

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年明けの占いで「今年の運勢は真っ黒。何をやってもうまくいかない。」と出た。別に占いを信じて自分の行動を決めているわけではないが、年初からやる気を削がれたので、今年は何もしないことにした。DJにおいては今年こそ海外ツアーを、アルバムでも作って、その発表会を。みたいなことを目論んでいたが、それも全部やめた。サーフィンでもやりながら来年が来るのを静かに待とうと思う。予言が当たれば、サーフィンをやってもどうせうまくはいかないのだろうが、うまくいかなくても面白いのがサーフィンなんだよね。

あ、あけましておめでとうございます。

MOVIE VIEW

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映画 “A GHOST STORY”を新宿シネマカリテで観ました。途中ちょっと退屈した時間帯もあったのですが、こういう映画もなくてはならんよな。というのが最初の感想です。「最初の」と言ったのには意味があって、これ、後になってじわじわといろんな感情がやってきます。このような「時間差」で人の感情を揺り動かすことのできる作品は映画であれ音楽であれ美術であれ、良い作品であると僕はカテゴライズしています。そしてこれは絶対に劇場で見ないとだめですね。音の演出が素晴らしいのでできるならサウンド環境の整った映画館で鑑賞されることをお勧めいたします。あとね、音のするものは食べられないですよ。よほど図太い神経の持ち主でないと。

納品 

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この夏から男服 5351 POUR LES HOMMESのショップミュージック(店の中で流れているBGM)を担当させてもらっている。その流れで2019 S/Sの展示会、会期中の音楽も作ることになった。ブランドの方向性を顧客に提示する場に流れる音楽だ。非常に重要な役割で、光栄であると同時にプレッシャーもある。

デザイナーから新シーズンのテーマ、キーワード、イメージ画像がデータで送られてきたのが10日前。まずはその意図をよく理解するところからスタートする。最初は何の音も聴こえてこない。大丈夫、まだ時間はある。

選曲集を作るときは最初の1曲が見つかるまでにいちばん時間がかかる。うまく説明できないのだけれど、それは最初から決まっているような気がする。どこにあるかはわからない。でも「ある」ことはわかっている。宝探しというよりは、どこにしまったか忘れてしまったものを探す感覚に近い。

やみくもに曲を聴きまくっていて見つかることもある。ラジオやSNSで偶然見つけることもある。多くの場合、それは突然やってくる。頭の中で音が鳴り出すのだ。

何も起こらずに数日が過ぎる。その間にもDJをやったり、サーフィンに行ったり、他にも用があってこちらには取りかかれない。音もまだ聴こえてこない。ただ、受け取ったビジュアルイメージが少しずつ動き始めている感覚がある。写真がスライドショーになり、ムービーとなってストーリーを語り始める。

6日め。ギターの音が聴こえる。はしっこを捕まえてたぐりよせる。「何だ、君か。」

レコードの棚からそいつを取り出してターンテーブルに置く。針を落とす。間違いない。コイツだ。残り3日。

翌日。別の音が鳴り始める。急遽、曲を集めて配列を考え、DJブースに立って一挙につなげる。おごそかで神聖なムードのミックスができあがる。いわゆるクリスマスソングは1曲も入ってないがこのシーズンの空気によく馴染むであろう。

その夜、やっと展示会用の曲を集めはじめる。この時点でイメージはすでに固まっているので、作業は難航することなく進む。雨が降っている。あと2日。

その次の日はサーフィンに行く。ドライブしながらクリスマスミックスを聴き、集めた素材を聴く。海に入った後は特によく音楽が体に浸透してくる。

納品日。いい感じでベッドから出る。午前中は整骨院、午後は歯医者。帰宅してから作業開始する。パソコンに取り込んだ音源をチェックしながら配置を決めてゆく。30ほどの候補曲を最終的には20曲ぐらいまで絞り込む。それらを今度はDJミックスのソフトに取り込む。ファッションブランドのイベントで流れる音楽が、8畳の和室のこたつの上で編集されているとは誰も知るまい。

パソコンを持ってDJブースまで移動し、配線を整えてレコーディングのセッティングをする。キッチンでコーヒーを入れ気分を落ち着かせると同時に高揚させる。

1曲めを放つ。実は最初に見つけたのとは違う曲だ。3日前はその存在すらも知らなかった。今は私の血と同期している。

選曲集とはいえ、ライブでDJしているのと全く同じ手法でレコーディングする。同じミックスでもスタジオで何度もこねくり回したものとは臨場感が違う。旋律はすべて私の体を通りまた新たな記号となってハードディスクに書き込まれていく。私は踊る。踊る。踊る。

およそ70分。最後の曲がフェードアウトして終わる。エピローグ用のダイアログ(映画のサントラからサンプルした。)を滑り込ませる時に操作ミスが起きて数秒のタイムラグができてしまう。おそらく問題なかろう。いやむしろ有効だったかも知れない。いずれにしてもやり直しをする気力は残っていない。時間もない。本物の一発録りだ。

ひどく体力を消耗しているのを感じる。に反して心の方は晴れ晴れとしている。ハードディスクの音源をCDに焼く。冬の格好をして車に乗り込む。また雨が降っている。

展示会の会場に納品しに行く。現場はディスプレーの作業が半分ぐらい終わったというところか。さっそくできたばかりのミックスを流してみるが、それがいいのか悪いのか、もう自分では判断できない。まあ「こりゃダメだよ。」となっても今更どうにもできない。何か不具合があれば連絡ください。本日中ならまだやり直しもできるので。と告げて会場を後にする。(実際はやりなおせと言われてもたぶんもう何もできない。)

一晩たって何も連絡がなかったから、おそらく合格だったのだと思う。何にしても気分はよい。今日は朝から晴れている。