カテゴリー別アーカイブ: 花、香り、色

犬の目

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犬の目は色を識別することができず、すべてがモノトーンで見えていると聞いた。最近では、実は色が見えているという人もいて、何が本当かはわからないが、この世界の中にモノトーン(に見える)エリアがあるのは事実であるようだ。

サーフィンの帰りなどに田舎の道をドライブしていて、白黒だけで彩られた墨絵のような景色に遭遇することがある。徐々に光が失われていく物悲しい時間帯で、以前はあまり好きではなかったが、ある時期から一転してマジックアワーの、特に後半を好むようになった。暗闇の後に必ず朝が現れることを長い時間をかけて学んだのだろうと自分では思っている。思考のスピードが遅いのでモノを理解するのに時間を要するんだ。

花屋でDJさせていただく機会を得た。友人のフォトグラファーが撮影した花の写真を何となくモノトーンに加工してみたら、その美しさに息を呑んだ。犬たちの目には花がこんな風に見えているのかと思うと少し羨ましく感じる。淡い青のブルースターとか、微妙なピンクのバラとか、全てが灰色に見えてしまうのは、残念な気もするけれど。

30年ほど前に東ヨーロッパのどこかの国を訪れた時、街全体がどんよりと、建物も空も人も酒場も煙草も、何もかもがモノトーンに見えたのを記憶している。その時の自分に、後に壁が崩壊して、街に光が、色が戻ってくることを想像する力があったなら、その暗い白黒の世界をもっと美しいものとして捉えることができたかも知れない。

 

 

夕食

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最後の晩餐にどんな料理がふさわしいかについては自分の中でも諸説ある。キリストのように大勢で食卓を囲むのだけは避けたい。小さなテーブルと座り心地のよい椅子がひとつづつあればよい。酒はいらない。音楽も必要なかろう。てきぱきと動く程度のよい給仕のいる店で、できれば通りに面して行き交う人を眺められる席がよい。風は少し冷たく、昼でもない、夜でもない時間帯が最高だ。皿いっぱいのフライドポテトを口の中に押し込み、コーヒーのおかわりをを注文する。ギトギトになった指をパンでぬぐい、そいつをまた口に放り込む。背後で交わされる男女の会話がフランス語だとより素晴らしい。デザート(ラズベリーの入ったタルトだ。)を運んできた給仕が、腕にかけた白いトーションの下から小さなピストルを取り出し、僕の後頭部に銃口を当て、無表情のまま引き金を引く。僕は口に入らなかったラズベリーの甘酸っぱい香りに思いを馳せながら、暗闇の中、地獄への階段をひた降るわけだ。何たる完璧な。

渋谷駅で海をばらまく

IMG_4880.jpegフレグランス:CHANEL/PARIS-BIARRITZ

このブログを毎回読んでいるマニアの方はあれ?と思ったかも知れません。昨年買ったのと同じフレグランス。 気に入って毎日つけたとしても半年でなくなるはずはありません。実は先日、渋谷駅の構内で落として割ってしまったんです。フレグランスを持ち歩くという行動が野暮であることは重々承知しているのですが、DJでロングセットの時、後半のダレる時間帯に香りがあると集中力が戻ってくるんですよね。どんな香水でも最初のトーンのインパクトは強力ですが、特にこのシャネルはつけた瞬間に「海」を感じます。

最近はこの数ヶ月で2回ほど車に傷をつけてしまったり、先日の靴のソール全張り替えもそうなんですけど、新しいモノを買うのではなく、すでに持っているモノをニュートラル状態に戻すためにお金を使っていることが多いような気がします。(CDで持ってるアルバムをレコードで買い直したりもそうですね。)

何だろう、深層心理では、この人生では「もう新しいものはいらない。」と思っているのかも知れません。いらないけど「お金を使う」という気持ちの良いドラッグはやめたくなくて、それでわざわざ持ってるものを壊しちゃうというね。

なわけで2月1日の夕方、東急渋谷駅の東横線と半蔵門線の間の通路で海のことを思い出した人がいたら、ごめんなさい、それは私のせいです。

 

 

コウモリラン

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コウモリラン。いくつか枯らしてしまったものもあるが七株残って、まずまず機嫌よく成長している。

植物は眺めているだけで心が和む、特にコウモリランは特別で、踊り狂う女たちの手のように思い思いの方向に咲き広がる葉、太陽の光に透けて見える美しい葉脈、丸っこくて可愛らしい貯水葉など、ずっと見続けていても飽きることがない。

水のやりすぎが枯らしてしまう原因のひとつと知り、水やりのタイミングは注意するようにしている。株によって二週間ほど放ったらかしにする時もあるが、このところ水が欲しいサインが何となくわかるようになってきた。

同様に、愛情を与えすぎるのも良くないかと考え、この胸の内を悟られないように演技しながら対応している。たぶんバレてると思うが。

自然界では他の木や岩石などに着生して成長するらしい。インターネットなどで情報を集め、見よう見まねで、流木(サーフィンに行った時に拾ってきた)や庭木の端材などにくっつけてみたら、なるほど植木鉢に入っている時よりも気分が良さそうに見える。私が死んだらぜひとも彼女たちを私の屍体に着生させてもらいたいものだ。(遺言に書いておこう。)何なら生きたまま一体化してみたいぐらいだが、はたして。

Music : “Why Can’t We Live Together” / Timmy Thomas

 

キダオレ日記 フレグランス

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日常的にフレグランスは使っていませんが、夜に出歩く時は身だしなみ程度に香りをまといます。長くラルフローレンのロマンス(名前からして選択の余地がありませんし、爽やかな香りも好みでした。)を愛用していたのですが、終売になって数年。ストックもとうとう最後の一滴まで使い切ってしまい、新たな香りを探すことになりました。

もともと僕はクリスチャンディオールのポワゾンとか、イヴサンローランのオピウムのような主張が強く、かつ、エグめの香りが好きで、こっそりシャネルのエゴイストを持っていたりもします。(まあ実際にエゴイストを使う場面って年に1度あるかないかぐらいのものですが。)シャネルの香水はとにかくボトルのデザインがかっこよくて、オブジェクトとしても萌えますね。

映画の帰りに渋谷の西武百貨店(古巣です。)のシャネルのショップで香りの吟味をしていたところ、お店の方に勧められたのが、写真の真ん中=パリ-ビアリッツ。ずばり、南ヨーロッパの「海」を連想させる、ロマンティックな香り。その前に10種類ぐらいくんくんやってたの全部吹き飛んでしまいました。これで決まり。2018年の新作というのもいいし、ユニセックスというのがまたいい。

よい香りとの出会いは本当に気分が高揚します。これはたぶん自力では見つけられなかったんじゃないかな。勧めてくれたお姉さん(の感性)に感謝です。これだけインターネット中心の世の中にあっても、香水売り場は最後までなくならないでしょうね。きっと。

Photo Session

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MACROMANCE by @secret_citywalk

東京都の気温が観測史上最高値を記録した月曜日の午後。炎天下の赤坂でフォトセッションしてきました。撮影はsecret_citywalkのハンドルネームで活動するYusuke Satoくん。昨年だったか原宿をちんたら歩いていて声をかけられたことをきっかけにインスタなどでつながり、お互いのクリエーションを意識し合いつつ今回のセッションへと導かれました。

彼のポートレイトはどの作品にもストーリー性があるのが特徴的で、素人のモデルさんにどうやって演技指導しているのか前々から興味を持っていたのですが、実際に現場に入ってみるとほとんど何も要求してこないんですね。都会の雑音のせいかシャッター音もほとんど聞こえないし、おそらく戸惑ってしまったのでしょう、前半は体に変な力が入っているのが出来上がった写真から見てとれました。(光や構図が最高だっただけに悔やまれます。)

中盤から呼吸も整い、リラックスしたムードで本来のロマンス感を取り戻し、奇跡のショットが生まれました。静けさと邪悪さ、心の中に潜めた怒り、ポップさと狂気。今のマックロマンスを的確に捉えた素晴らしい写真だと思います。

気がつけば「Session」が僕の今年のキーワードかも知れない。

キダオレ日記 ハット

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ハット:KIJIMA TAKAYUKI

ここ数年、どのセレクトショップでも必ずと言ってよいぐらいよく見かけるKIJIMA TAKAYUKIの帽子。気がつけば僕も半ダースぐらい所有しています。トレンドを取り入れつつも独創的、ハットをたたんで持ち運びできたりなどのアイデアや実用性もあり、しかもリーズナブルなお値段設定とあって、まあとにかくマイナスポイントが見つかりません。他のブランドが置いてけぼりを食らうのも理解できます。ブランドの名前表記を英米式にせず、苗字を頭に持ってきたのも正解と思います。TAKAYUKI KIJIMAでも悪くないけど、KIJIから始まった方がエレガントな気がする。サイズやカラーの展開が多いのもの魅力のひとつ。こちらはつばの短いネイビーカラーのタイプ。かなり気に入ったのでたぶん色違いのブラックも買うんじゃないかと思います。