カテゴリー別アーカイブ: ことば、エッセイ、ポエム

ドリームジャーナル

1、

気分よくドライブしていたはずだったが、いつしか意識がぐるぐると灰色の渦を巻いていた。気がつくと大きな橋の上にいて、前後で車が渋滞していた。人々が車を降りて右往左往していたが、どうにも様子がおかしい。そう、まるでゾンビ映画を観ているような光景だ。よく目を凝らしてみれば、彼らはまさにゾンビそのもの。全体的につるっとしていて出血などもなく、おどろおどろしさには欠けるものの、あの滑稽な体の動かし方は普通の人間の技ではない。

ひとりが窓から入ってこようとして、咄嗟に手が出て投げ飛ばしてしまった。ゾンビは想像以上に華奢で僕の片手の力だけで、崩れながらすっ飛んでいった。

他のゾンビたちも特に攻撃的なわけではなさそうだった。ただ行き場を失ってぞろぞろと歩いているだけだ。爆弾かなんかが落とされてみんな死んでしまったのかも知れないと僕は思った。とすれば自分もすでに死んでいるのかも知れぬ。いずれにしても何か酷いことが起こったのは間違いなかった。

とにかくこの場を離れよう。子供たちのことが心配だ。後ろの席に座っている奥さんはいたって冷静で落ち着いていた。まったくゾンビには見えない。大丈夫。僕たちは生きている。

2、

飲屋街に女とふたりでいた。どの店も繁盛しているようだったが、全体として安っぽく「作り物」な感じがしていた。女の顔は前から知っているが、一緒に呑むのは初めてのことだった。隣に立ってみると、記憶よりずっと若く、なかなかの美人に見えた。会話が弾んだ。内容はまったく覚えちゃいない。ふと、僕の目の前に女の顔があった。「さあ、どうすんの?」と言ってるみたいな雰囲気だった。僕はこれから始まってしまうかも知れない長く不毛な時間のことを想像した。そして逃げた。

3、

同じ飲屋街に今度は奥さんとふたりでいた。背後では白人の男たち3人組が物欲しそうに首をキョロキョロさせていた。古いアメリカ調の静かな店に入って飲み物を交わしていたら、よりによってさっきの女がいてこちらに近づいてきた。何故か着物姿だった。あ、どうも、と白々しく挨拶をした。奥さんは別段何も気にしていないようだった。

4、

長方形の部屋にいた。店のようにも見えたが、キッチンやバーカウンターはなく、広めの応接室のような部屋だった。20代ぐらいと思える女性が自分の上司の悪口を言っていた。彼女の言い分は的を得ているように思えた。そのうちに人が集まってきて、部屋の中いっぱいになった。みな思い思いにくつろいで、よい時間を過ごしているように見えた。知っている顔も何人かいた。僕の携帯電話が鳴ったけれど、出る気分じゃなかったので放っておいたが、自動で留守電になって、相手が吹き込む声が聞こえてきた。電話の相手は前にプースカフェのとなりにあったアイリッシュパブのオーナーだった。

「もしもしカメダですけど。店の方で何かあったみたいですよ。怒鳴り声とかが聞こえて人が集まっています。」

これはビルの管理会社に確認をとるべきと思った。あいにく電話番号を覚えていない。ビリーちゃんに聞いてみたら「簡単ですよ。ゼロゼロゼロ、イチイチイチ、ニニニ、、。」と言われるがままに番号を入力したがどうもうまくいかなかった。

「まいったな、何だか店の方でトラブルがあったらしんだ。」

「知ってますよ。」

「え?」

「マックさんの携帯の通話、誰からでも聞けるような設定になってます。」

「え、そうなの?」

ようやく管理会社に電話がつながった。何でも僕が待ち合わせをすっぽかしたと取引先が激怒して暴れたらしい。そんなヤクザみたいな男と約束をしたはずはないが、そう言われてみれば、うっすらと記憶にあるような気がしないでもない。

ドリームジャーナル

会場中央に設置された正方形のプールの中で選手達が戦っている。本来の競技では名を馳せた選手達だが、胸まで水に浸かって戦うのは難儀であるようだ。まともなキックも放てず、正直、見ていても迫力に欠ける。

ひと試合終わって、次の選手達が入場してきた。青コーナーの選手のセコンドが現役時代、「殺戮ピラニア」と恐れられた長南亮さんで、タケちゃんが「おお!長南がついとるやんけ!」と大きな声で叫んだ。すぐさま警備員らが飛んできてタケちゃんを警棒ではがいじめにして、会場から引きずり出した。会場で選手以外の名前を呼ぶことは禁じられているのだ。「何やおまえら、これはちゃうやろ、名前言うただけや。離せ!」などと往生際悪く抵抗していたが、やがてその声も壁の向こうに消えていった。

舞台が変わり、平家の民家に僕とダンさんがいた。見覚えのない家だったけど、雰囲気から察するに僕の家であるようだった。となりの部屋では母親がいるようだった。ダンさんは白いTシャツ姿になって頭からバケツの水をかぶっていた。僕もマネして水をかぶった。冷たい水は火照った頭に気持ちよく、僕は何度も何度も繰り返し水をかぶり続けた。

気がついたらダンさんの姿は見えず、またタケちゃんがいた。タケちゃんが庭の爆弾のタイマーをセットして、僕は寝室の方をセットした。逃げる前に必要なものをかきあつめてリュックサックに詰めていく。リュックの中はサングラスでいっぱいだった。財布とか他にも大事なものがたくさんあるはずなのに。この家が爆発するときっと母親は悲しむだろうなと思った。そしたら急に怖くなってきた。ベッドの上に置いた起爆装置のところまですっ飛んで行って、配線をボードからもぎ取って起爆を解除した。たぶん2秒ぐらいで爆発していたところだったはずだ。手が震えていた。タケちゃんが神妙な顔つきでこちらを見て、うんそれでいいんだ、という風に頷いた。

メリークリスマス

GOOD STORE

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鎌倉でご機嫌なストアを発見。ワークウェアの廉直さに都会的なエレガンスの加わったオリジナルブランドの服と趣味のよいセレクト品がいい感じにディスプレイされています。サーフィン、ファームワーク、ガーデニング、そしてもちろん街でも、今の僕のライフスタイルのあらゆるシチュエーションで使えそうなものばかりがずらりと並んでいてちょっと興奮してしまいました。

この日はサーフィン帰りだった(僕はサーフィンに大きなお金やカードを持っていきません)のでソックスとコンテナだけ購入。ソックスは今年気になるオレンジ色のメイドインジャパン。コンテナはマトリョーシカ人形みたいに同じデザインでサイズ違いのボックスが中に3つ入っています。ひとつはワックス入れに。ほかは何に使おうかな。

ほかにもツイードのジャケットとかフリース素材のパンツ、セントジェームズのボーダーシャツなんかもあってわくわくしました。

このところ何を着ればいいのかわからず、いや、着たいと思う服に出会えず、あちこち彷徨い歩いていて、まさかロンハーマンではなかろうし、アウトドアウェアも頭からつま先までPatagoniaってわけにもいかないし、いっそのことユニクロでいいや、みたいに投げやりになってたので、ちょっと嬉しい出会いになりました。次は財布にお札いっぱい入れて行こうと思います。

内房トリップ

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千葉の海にはサーフィンでほとんど毎週訪れていますが、地元を観光する機会はあまりありません。美味しい食べ物とかめずらしいスポットたくさんあるはずなんですけどね。もったいない。

なわけで、今回は千葉の海をサーフィン抜きで訪れてみました。行き先は千葉最南部の館山。先に全体の感想を言うと、何だか「島」に来たみたい。どこに行っても海の匂いが感じられて、東京と陸続きであることを忘れそうになります。

千葉県は東西南北に広く同じ県でもけっこう文化にちがいがあることを改めて認識します。まず植物がちがう。車の窓から見える緑は見慣れた杉やヒノキではなく、南国調の亜熱帯植物。街のイメージ作りに意図的に植えられたヤシの木などの影響もあるでしょうが、普通にその辺に生えている雑草なんかを見ても、やはり東京の空き地を占領しているイネ系の草とはちょっと雰囲気がちがいます。

僕の母親は成田市出身なので僕はハーフ千葉県民ということになるのですが、ご存知成田には海がなく、海鮮料理の文化がありません。(こんなことを言ったら成田のお寿司屋さんに怒られてしまいそうですが)成田で美味しい寿司屋に行ったこともないよなあ。実際、母の話を聞いても子供の頃に刺身などを食べた経験はなく、たまに行商がアジやイワシの干物を売りにくるぐらいがせいぜいだったそうです。ま、戦後のモノがない時代ということも関係しているとは思いますけど。

そのかわり、成田には鰻や鯉などの淡水魚を食べさせる良い店があふれるほどあります。利根川と印旛沼がありますのでね。先日、印旛沼の近くにアメリカザリガニを食べさせる店を見つけて、今からそこに行くことを楽しみにしています。一般でわりと敬遠されがちな泥臭い食べ物が好きなのは、僕の中に流れる成田の血のせいかも知れません。

そうだ、館山でした。

館山を訪れた観光客が必ず足を運ぶスポットがこの大福寺。崖観音と呼ばれるように山の中腹の崖に張り付くようにして建てられた空の寺です。何で人間はこんなことを考えるんだろうと思ってしまいますが、まあ、どの時代にもおかしな人がいるってことなんでしょう。

写真で見るとたどり着くまで相当険しそうですが、実際は階段を使って大人の足なら5分ぐらいで登ることができます。登山とかその気になってると物足りないかも。みやげ屋やお茶屋などもなく、人もおらず、「どうぞ勝手にお参りしてくださいまし」という感じ。ドライブ途中にちょこっと車を止めて仏さまに手を合わせに行くぐらいの規模だと思います。お寺のデッキからは美しい内房の海を眺めることができます。街に「高い所」があまりありませんので、ランドスケープ好きな人にはいいかも。

街そのものはけっこう元気がありそうですが、観光地としてはやはりちょっと寂れてる感は否めません。(これは僕の好みと完全に一致します。)そのせいかシーズン中だというのに、今や日本中にあふれている海外からの観光客の姿はほとんど皆無と言ってよいぐらいありません。おそらく都心からのアクセスの悪さもあるでしょう。おもてなしモード全開の観光地にへきれきしている旅人、地元の人のゆるい生活の中に静かに足を踏み入れるような旅が好みの人には、ここ館山にとてもよい時間があるように感じます。

内房の旅のお話、もう少し続けますね。

 

café! café! café!

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明日はどうすっかな。荒地の整備するか、海に行くか、なんて考えてたんだけど、SNSで「地震が来る」って記事をいくつか見かけて(何でも未来人の予言だとか)、まあ信じるわけでもないけど、遠出する気分は寝る前に削がれました。で、起きてみたらひどい雨で、午前中はパソコンとターンテーブルの前で過ごしました。ずっと家にいるのもしんどいので、インターネットでcafé情報を検索したら二子玉川エリアに良さそうなのがあります。多摩川沿いをビートルちゃん飛ばして行ってみたら、それはまあかっこいい店で、存在すら知らなかったんだけど、もう開店して2年になるらしい。店もいいけどお客さんがみなお洒落&清潔感があってよし。タトゥーとかバシバシ入れてんだけど、Tシャツとか真っ白だし、バイクなんかは乗らずに本読んでます。みたいな人種。何かと「インディペンデント」という言葉が似合いそうな人たちが集まりそうなスペースでした。(勝手なイメージね。)オーナーの趣味だという本がずらり、レコードもディスプレーされていました。初めて見たバスキアの絵がジャケットになったレコード。どんな音が入っているのか知らないけれど、レコードハンターの経験としては、この手の(かっこよすぎる)ジャケットの中身はクソであることが多い。でも欲しいか欲しくないかで言えば欲しいです。店内にグリーンをあしらうのが最近の(カフェや美容室や雑貨屋などの)トレンドだと思うのですけど、花や緑は一切ないというところも逆に清くていいと思いました。またいい店見つけちゃった。また行きたいです。

LIVE

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「ものんくると透明なセイウチーズ」というバンドのライブに行ってきました。貴公子=角田隆太と歌姫=吉田沙良の「ものんくる」別ユニット。彼らはテーマ別?に複数のユニットで活動していて、おじさん実はちょっと把握しきれていません。やりたいことやアイデアがどんどんあふれだしてきて、きっとひとつにはまとめられないのでしょう。

ライブは時代の「最先端」を感じさせる内容。80年代を思い出させるようなファッションや即興のビデオインスタレーションとあいまって、プログレ、フュージョン、前衛アート、アシッドジャズ、、などの要素が沙良姫の奇妙な歌詞と絡み合い、独特の世界観を醸しています。(個人の感想ですよ。本人たちの意図するところと違ったらごめんなさい。)お客としてももちろん楽しみましたが、DJ心をずいぶんくすぐられました。もしアナログレコードが出たらすぐ買うと思います。かける環境をこさえるのは苦労しそうですが。

トークと合わせて1時間ぐらいのステージだったかな。僕は集中力が持続しないタイプなので、長いライブはあまり得意ではないのですが、この日ばかりは、音が遅れて体に入ってくるというか、もう少し演奏を聴き続けていたいと感じました。物静かなイメージがあるんだけど、角田くんはけっこうおしゃべりなんですね。対して沙良姫のどろーんとした立ち振る舞いが絶妙。あと福澤和也の邪悪なギターソロ、良かったなあ。

トークショー

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創作和菓子ユニット “wagashi asobi”が本を出版。代官山の蔦屋書店で出版記念のトークショーが開催されました。(お二人とはプースカフェを通じて知り合ってから、いつもちょっと気になる存在、という関係です。)

お二人は和菓子屋さんとしても、もちろん素晴らしいお仕事をされているわけなんですけど、お話を聞いて、ふたりの「生き方」に魅力を感じる人がたくさんいて、彼らの作るお菓子が、彼らのスピリッツを受け渡す役割を果たしているんじゃないかって感じました。

ほんとうにおこがましいのですけど、稲葉さんは最初会った時から自分と同じにおいがするというか、どこかパンクな要素を持ち合わせているような気がしていて、いやいや、あんな立派な人を捕まえてパンクとは失礼なと怒られてしまいそうですが、お話の中で「やっぱりなー。」と思う下りが出てきましたよ。

「やりたくないことはなるべくやりたくない。」

というのが僕の耳に引っかかったセンテンスでした。

「好きなことだけを追求する。」

意味としては同じですが、いわゆる世の中の成功者で前者のような引き算的な考え方を公言する人はすごくめずらしいと思います。

まあ、実際にやりたくないことをやらないためには、実はやりたくないことにもすごく真摯に取り組まなくてならないわけで、僕のようなただのなまけものを引き合いに出すのはほんとうに失礼だとは思いますが、僕が前から感じていた稲葉氏のパンクな部分がお話の中に垣間見えて、嬉しくなってしまいました。

本はこれから読みます。さて、どんなことが書かれているんだろう。楽しみです。