四国に住んでいた10代の頃、ロンドンから届く服を見に、フェリーに4時間乗って、大阪のアメリカ村にあったパンク系の服屋に、通うという程でもないが、何度か訪れた。「見に」と言ったのは、取り扱っていた商品が高価で、とても買える代物ではなかったからである。安全ピンや女物の古着を駆使して作ったDIYパンク衣装に身を包み、船酔いと格闘し、偽物の大阪弁でやりとりしながらお目当ての服屋を目指す。店は雑居マンションの確か2階にあって、大音量で音楽が流れているのが遠くから聞こえてくる。店に近づくにつれてアドレナリンがカラダを駆け巡り、鼓動がリズムとリンクする。無造作に開け放たれた鉄のドアの前で興奮が最高潮に達する。まるで聞いたことのない音楽。
ハンザワさんの最近のDJ MIXは僕にその時のことを思い起こさせる。
無邪気なパンク少年に、店主が服のうんちくを授ける。キングスロードとか、ワールズエンドとか、シドチェーンとか、、聞くだけで鼻血が出そうなカッコいいワードがパンク少年のハートをメタメタに突き刺す。
服屋で流れていた音楽はパンクではなかったと思う。もっと難解で、ドロドロして、居心地の悪い音だった。今のハンザワさんが「その辺」を突いている。彼のMIXを聴いて、17歳の自分にタイムスリップする。夢なんかなかった。ただ壊したかった。何を?世界を、自分を。
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