観ました。(一部で)話題の映画「HOMELESS」。
まず最初に「ニューヨークと寝た男」というサブタイトルは全く必要ないと思います。「ホームレス」のままでいいじゃんね。
この映画、住む場所とかにこだわらず自由奔放に都会を生き抜くかっこいい男のストーリーだと思っていたのですが、ちょっと目論見が外れたかな。言うならば「ダメ男」の話でした。好きでホームレスになったわけではなく、いろんなことが中途半端で金もなく仕方なくビルの屋上で住み始めた「自称」クリエイターの生活を追ったドキュメントムービー。
当てが外れて失望したかと言えばそんなことは全くなく、とても多くを考えさせられる良い映画だと思いました。方向は違うものの主人公と自分との共通点がたくさんありすぎて、とても他人事ではない感じ。ただ、彼と彼の生活が少なくとも映画の題材となるレベルであるのに対して、こっちはハエの目にすら止まらないリアルな負け犬なわけで、彼のことを指差して笑う権利は僕には全くありません。負けてるという意味では僕の方がずっと酷く負けている。でも、同じLOSER同士、主人公の苦悩はじゅうぶんすぎるぐらい理解できます。
この映画のおかげで、おそらく今の彼はもうホームレスではなく、そこそこの仕事を得てまっとうなクリエイターとして活躍しているはずだと思うんですけど、果たして彼はこのチャンスを生かし続けることができるでしょうか?僕の考えでは、そんなに遠くない将来、彼はまた路上?生活に戻ることになるのではないかと思います。最近になって思うのですけど、ダメ人間は自分の意思でダメになるわけではないんですよね。宿命的にダメなんだ。
自分がそうだからと言って一緒にするな。という声が聞こえてきそうですけど、主人公のダメな感じは何か本質的にダメな感じがします。ダメ人間にはダメ人間のことがよくわかる。自分のことはよくわかんないんですけどね。ま、僕の言い分がはずれて彼が今後の人生を勝ち組としてまっとうできることを祈ります。
もっともこの方、モデルやってるぐらいだから、やっぱり魅せるし、社交性があって他人を楽しませることができるし、カメラマンとしてもそれなりに良い仕事をしていそうだし、人に迷惑をかけているわけでもなく、家族思いだったり、どの角度から見てもけっこう魅力的な人物であります。好きなことやって生きているわけだし、本人が開き直って「THIS IS MY LIFE」つって堂々としてれば立派な成功者なのではないでしょうか。
ホームレスと言えば、僕は若い頃に4年ぐらい住居を持たずにあっちこっち人んちでやっかいになってたことがあるんですけど、今にして思えば、あれは正にホームレスですね。あそこが僕の原点だとするならば、現在の自分の置かれてる環境はスーパーセレブ。屋根があるところで家族に囲まれて幸せに生活できることを神さまに感謝しつつ、少しでもダメ人間から脱却する努力をしなくてはいかんと思いました。