映画 “37°2 le matin” (邦題:ベティー・ブルー 愛と劇場の日々)を観た。東急文化村ル・シネマで開催されていた特集「ヌーベルヴァーグの恋人たち」の中の1本。
内容については端折る。今更話すまでもない。久しぶりに「映画」を観たような気がする。というのが感想。
最初に観たのは結婚する前だったから、もう25年になるのか。ストーリーを知っているだけに、観ているうちにどんどん気が重くなっていく。途中で帰りたくなったが、我慢して最後まで観た。
あったはずのシーンがなかったり(たぶん他の映画と混同しているのだろう。)まったく見覚えのないシーンがあったり、記憶なんてものはほんとにあいまいなもんなんだな。
サントラをアナログ盤で(しかも2枚)持っていてDJする時には必ずケースに忍ばせてあるのだけど、実はかけられるチャンスはあまり巡ってこない。全体的にスカスカな感じがして物足りなくBGMとしては使いづらいんだ。これが劇場になると全然違って、弱いはずのサウンドが強烈に影響力を誇示しているのにはちょっとびっくりした。映像と合わせることを考慮して、あえてスペースを用いた音作りをするのだろう。レコードを聴いてるだけでは気がつかなかった。
時間は離れたけど、作品との距離は近かった。例えば、僕が見ているこの太陽と、25年前に現場のスタッフたちが見ている太陽は、全く同じなんだって感じた。うまく説明できないな。
懐古主義者というわけではないけれど、僕が思う「映画らしい映画」ってだいたいこの時期ぐらいで終わっているような気がする。その後、技術が飛躍的に向上して、そのぶん椅子に座って作業する時間が増えて、撮影現場の空気がそのままスクリーンから伝わってくるような作品を撮ることが誰にもできなくなってしまった。
ウィキでちょっと調べてみたら主役のベティーを演じたベアトリス・ダルさんは、私生活でも麻薬やら窃盗やら傷害やらで何度も逮捕されたりとかなかなか波乱万丈な人生を送っていらっしゃるようだ。全部がベティーのせいとまでは思わないけど、二十歳やそこらでこんな役をやらされたのでは(知る限りではこれがデビュー作)まあ、しょうがないかなあ。と少し気の毒に思う。
文化村の特集は終わってしまったけれど、ベティーブルー製作25周年記念企画として新たにデジタルリマスター版がロードに出るらしい。もうしばらく観たくないけど。