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恵比寿ガーデンシネマ(もとい)現ユナイテッドシネマで、映画 Café de Flore(邦題:カフェ・ド・フロール)を観た。今回も前情報はゼロ。フランス語のタイトルでヴァネッサ・パラディー主演となれば、パリのカフェを舞台にした物語、バリバリのフランス映画と思いきや、実はカナダ映画だった。監督もカナダ人。

この映画はネタの内容を知らなければ知らないほど楽しめると思うので、慎重に喋るが、まずヴァネッサ・パラディーが非常に良かった。この映画は彼女の存在なしには成立しない。

ストーリーは複数の時間軸を何度も行き来しながら進んでいく。その転換時に「暗示」を含んだ短い場面がサブリミナル的に挿入されている。どっぷり物語の世界の中にはまり込んでいたら、突然、可笑しな演出。一瞬にして、「これは映画であって、僕たちはスクリーンを観ている観客なのだ。」という現実に引き戻されてしまう。この効果で観客はこの作品における「時空の旅」をよりリアルに体感してしまうことになる。(と、後でこのくだりを読んで、僕はどうも時間や時空の移動の仕方について何がし興味があるのだと気がついた。前にニックケイブの映画の感想を書いた時にも同じ類いの記述があった。)

タイトルの「カフェ・ド・フロール」は、イギリスのエレクトロ系アーティストDOCTER ROCKITのヒットソングのタイトルをそのまま使用したらしい。おそらく監督自身が大好きな楽曲なのだろう。映画の中でも主人公の男優にこの曲の素晴らしさについてのウンチクを語らせている。

YouTubeで確認するとDOCTER ROCKITの同曲のプロモビデオは、もろ、パリのカフェが舞台になっていたから、原曲そのものはパリの銘店=カフェ・ド・フロール(以前東京にもブランチがあった気がする。)をフィーチャーしたものなのだと推測される。

ちなみにDOCTER ROCKITなる人物は他にも複数の名前を使い分けながら活動している変なアーティストで、本名(?)はマシュー・ハーバート。映画の中で登場人物がレコードをターンテーブルに置くシーンが何度か出てくるのだけど、そのレコードジャケットの裏面にしっかり「MATTHEW HERBERT」と印字されている(これも演出だ。そんなレコードは現実には存在しない。)のを発見して、ちょっと嬉しかった。他にもシガーロスやキュアーなど曲者アーティストたちの楽曲がそれぞれのシーンで存在感を醸していて、全体として「音楽的」な映画であると言ってよいと思う。

観ている間も、観終わった後にも、考えることが多い。良い映画なのだと思う。 星4つ半。漠然としたレビューしかできないのだけど、自信を持ってお勧めします。

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