コーヒーと赤いセーター

今日は朝から元気がない。もやもやした気分でコーヒーショップに行ったら、前の客がゴネててなかなか順番がまわってこない。早くしろよって、やっと僕の番。あらカウンターの女の子、美人じゃん。お嬢さん、コ、コーヒーをお願いします。あ、持ち帰りでね。はい、かしこまりました。って彼女がコーヒーを用意する後ろ姿をしばしうっとりしながら眺めていて、ふとに我に返る。いかん。絶対にエロい目をしてた。してたな。してた。回りを見回す。うむ。大丈夫だ。誰にも見られていない。隠しカメラにもたぶん映ってない。カツもいない。あいつはそういう時にかぎって偶然い合わすんだよ何故か。コーヒーを受け取っておつりをもらう。ありがとうございました。素敵ですね、赤いニット。って彼女が言って微笑んだ。素敵ですね、赤いニット?僕はセーターよりも赤くなって、ありがとう、と小さな声で言って、逃げるみたいにしてコーヒーショップを出た。

近頃のコーヒーショップのマニュアルには「お客の良い所を見つけて褒めること」とか書かれてるのかな。とか、いろいろ考えながら車の中でコーヒーを飲んだ。パトカーがものすごいスピードでやってきて僕を追い越し12月の北の空に吸い込まれて行った。

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